今日は、このブログでもよく出てくる、
「中小企業診断士」
について書いてみようと思います。
中小企業診断士とは、ざっくり一言で言うと、
「国が認めた経営コンサルタント資格」
です。
なので、中小企業診断士になるためには国家試験を受けて、合格する必要があります。
私は、今年の試験でなんとか合格させてもらえました。
では、その中小企業診断士に求められる役割は何でしょうか?
中小企業診断士を定義付けている法律があります。
「中小企業基本法」
「中小企業支援法」
の2つです。
中小企業基本法では、
「柔軟性や創造性、機動性を持つ中小企業こそが、我が国経済の発展と活力の源泉」
と述べられており、中小企業の自主的な努力を正面から支援することを宣言しています。
中小企業支援法では、中小企業支援事業を計画的かつ効率的に推進するとことを定めています。
その中で、中小企業を支援する者(中小企業診断士)の登録制度を設けています。
つまり、中小企業診断士に求められる役割とは、
「中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家」
です。
意外と、目指している人でもこの辺のことが曖昧だったりします。
おそらく、ただ合格することだけを目指すと、いつまでたっても合格できないのでしょうね。
では、この役割を果たすために必要となる能力はどのようなものがあるのでしょうか?
それは、試験の科目や内容を検証することで分かります。
中小企業診断士試験は、大きく1次試験と2次試験に分けられます。
1次試験はマークシート方式で次の7科目があります。
・企業経営理論(戦略立案・組織構築・マーケティングなどの経営関連全般)
・財務・会計(経営の財政状態・成績評価・投資判断などの財務・会計全般)
・運営管理(工場や店舗などの運営方法全般)
・経営法務(会社法や知的財産権などの、企業経営に関わる法律全般)
・経済学・経済政策(一般的な経済学の知識、現状の経済状態・経済政策)
・経営情報システム(経営に関わるITやシステム構築全般)
・中小企業経営・政策(中小企業白書より、中小企業の現状や支援政策)
以上のように、1次試験は幅広い知識が問われます。
中小企業診断士に求められる能力のひとつとして、広範囲に渡る専門知識を有することがあると思われます。
1次試験に合格すると、2次試験を受ける権利が得られます。
2次試験は筆記試験と口述試験に分けられます。
まず、筆記試験では、事例企業の様子が2~3ページに渡って記述されており、その事例企業の現状を診断し、経営課題に対する提案をする問題が出題されます。
それらの問題に対して、限られた字数で解答を記述します。
実際のコンサルティング業務を紙面上で行うのが、2次筆記試験の特徴です。
そして、筆記試験に合格すると口述試験を受ける権利が得られます。
口述試験では、筆記試験の事例企業について口頭で質問されます。
それらの質問に対して約10分間応え続けます。
つまり、対面でのコンサルティングを行うのが、2次口述試験の特徴です。
2次試験の内容から、中小企業診断士に求められる能力を考察すると、
・専門知識を活用して、企業の分析・診断・戦略立案を実施すること。
・他者に分かりやすく伝えるコミュニケーション・プレゼンテーション能力。
・限られた時間を有効に使っていく時間管理能力。
などが挙げられると思います。
また、合格するためには非常に粘り強い根気も必要になります。
これらの能力を有する人が、中小企業診断士と言えます。
さらに、これらの試験に合格しても、実務補習という実際の診断業務研修を受けなければなりません。
私は試験自体は合格しましたが、まだ実務補習を受けていないので中小企業診断士を名乗れません。
さらに、実務補習を完了して、中小企業診断士になったとしても、5年更新制度があります。
5年間で診断実務による規定ポイントを獲得し、知識の補充である研修を受講しなければ資格を更新することができずに失効してしまいます。
これだけのことを中小企業診断士は経験しています。
これだけやるのだから、さぞメリットがあるのだろうと思われるかもしれません。
しかし、中小企業診断士には他の士業のような独占業務はありません。
資格を取ったからと言って、仕事があるわけではないのです。
そうまでして、なぜ中小企業診断士を目指すのか?
それは、やはりそれぞれの人の「志」に理由があると思います。
中小企業診断士をめざす過程で得られる、能力や考え方はとても高度で、自身の志にとってとても役に立つものばかりです。
この世界で、何かを成そうとする人にとって、資格そのものではなく、その資格を得るまでの過程で鍛え上げられる何かが大事なのだと思います。
中小企業診断士は、士(侍)業の名に最も相応しい「志」を持つ人々だと信じています。
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